『The Eternal』とSonic Youthの軌跡

Sonic Youthの新作、通算16枚目のアルバム『The Eternal』がとても良い出来なのである。
四半世紀以上の活動で見せてきたバンドの側面の集大成と言える出来で、初期の荒々しさや中期のクールさ、近年のベテランの味など全てがうまいことミックスされている。

Eternal

Eternal



ここで、誰にも聞かれてないけどSonic Youthの音楽性(ノイズを軸にした楽曲)がどのように変化して行ったか説明いたしましょう。



初期インディーズ時代

80年代前期。
Sonic Youthの核の一つである前衛さがモロに出てた時代。
カビの生えた地下室で衝動を爆発させるかのような印象。




後期インディーズ時代

80年代後期くらい。 ドラムにSteve Shellyが加入して現メンバーが揃う。
Steveが叩くビートはSonic Youthにミュージシャンシップを持ち込み、Sonic Youthは『バンドサウンド』を獲得。



初期メジャー時代

90年代初期。
Nirvanaなどと共に『グランジ』としてメジャーシーンに登場。
『Goo』や『Dirty』など、Sonic Youthの入門盤として薦められるアルバムが出たのがこの頃。
初期に比べるとしっかりと曲の展開があって聴きやすくなってる。



中期メジャー時代

90年代中期〜後期。
グランジムーヴメントの終焉後。
この頃からマイペースさってのが顕著に出てきたと思う。
所謂タテノリの曲が少なくなってる。
個人的にはこの頃の印象は薄いけど、『Washing Machine』だけはSonic Youthのアルバムの中で一、二を争うくらい好き。



後期メジャー時代

2000年以降、最近ですね。
『NYC Ghosts & Flowers』、『Murray Street』、『Sonic Nurse』の通称・ニューヨーク三部作ではJim O'Rourkeが参加。
『NYC〜』なんかはバリバリの音響作品でJimありきのアルバムと思われ。
最近は前作『Rather Ripped』も含めて、なんかベテランのオーラを出しながらまったりしてる印象。
どのアルバムにもカッコイイ曲、良い曲は入ってるけどアルバムを通して聴くとどうしても後半がダレちゃうんだな、個人的に。



そんで、メジャーとの契約が切れ、またインディーズに帰ってきたSonic Youth
インディーズ復帰1枚目の今作『The Eternal』は冒頭でも言ったようにこのアルバムは今までの集大成的なアルバムになってて、近年のマイペースさを出しながらも初期の頃の勢いや、『Goo』で見せたスリリングさなど色々な側面を見せてくれる。
昔のタテノリ感が戻ってきて、後半のダレが全く感じられない。
個人的な『Tne Eternal』のベストトラックは8曲目の『Malibu Gas Station』。
『Teenage Riot』を彷彿させる、ザクザクと刻むギターが気持ちいい1曲。

バンドとして老け込むことなく、ここでこんな傑作を出してくるとはSonic Youthはまだまだ元気やなとこっちまでうれしくなってしまう。
サマソニには来るけど、それとは別に祈願、単独公演!