アニメが作りたくて仕方がない! 今井哲也『ハックス』

手羽先とヨーグルトを使ったカレーを作ってるのだけれど、煮込む時間が暇なので漫画について書こうと思う。
(とか言いながら煮込む時間内に書き終わらんかった。結局こんな時間になってしまった!)

取り上げるのは個人的にかなり注目してる今井哲也の『ハックス!』。
ハックス!』は高校のアニメーション研究部を舞台にした漫画で、月刊アフタヌーンに連載中、現在2巻まで出てる。

アニメーション研究部が舞台というと、どうしてもオタク的な漫画と思われるかもしれない。
例えば、大学のオタクサークルを舞台にした漫画、木尾志目の『げんしけん』なんかはアニメやゲームに浸った部員たちのオタクライフを描いていた。
じゃあ『ハックス!』も似たようなものかと言うとそうではなく、『げんしけん』は部員たちは生産されるオタクコンテンツを楽しむという『消費』する漫画であったのに対し、『ハックス!』はアニメを作り出すという『生産』する漫画なのだ。


主人公のみよしは高校に入学して、新入生歓迎会で流されたアニメーションに感激し、アニ研に入ろうと決心する。
しかし、アニ研は3年生の部員一人だけで活動してないに等しい部活であった。
ここでみよしが言う。

「アニメ作りませんか!
 たぶんみんなでアニメ作ったらすごい面白いです
 アニメの"すごい!"っていうエネルギーを使ってアニメを作るんです!」

この、みよしのアニメが作りたい!という純粋な感情がすこぶる気持ちいい。
そして、アニメが作りたいみよしは自分の出来る範囲(パラパラ漫画)からアニメ製作を始める。
自分で知らないことは勉強し、作品を量産していく。
その作品は映像に詳しい同級生の部員などのアイデアで、コメント付き動画共有サイト(作中でのニコニコ動画みたいなサイト)にアップロードされる。
そのとき、みよしはうれしそうに「できた… できた!」と感動する。

みよしはいわゆるオタクではない。
オタク的教養は何一つ持ち合わせておらず、まったくの素人である。
にも関わらず、アニメへの熱意・衝動でアニメ製作を楽しんでいく。
この漫画にはアニメに限らず創作全てに対して「創作すること、表現することは楽しいぞ!」というメッセージが含まれてる。
それと、せっかく作ったものは誰かに受け取ってもらわないともったいない!というメッセージも。
そういったテーマの下で、みよしが少しずつ成長していくのは本当にワクワクする。

スポーツで全国大会を目指さないし恋愛をしてるわけではない。
それでも、青春はここにある。
この漫画、いつか迎えるであろうクライマックスでどれだけのカタルシスを見せてくれるか、楽しみで仕方がない。

ハックス!(1) (アフタヌーンKC)

ハックス!(1) (アフタヌーンKC)

ハックス!(2) (アフタヌーンKC)

ハックス!(2) (アフタヌーンKC)